> 会長挨拶

私立大学における看護教育
会長 近藤潤子
本協会の定款第3条には、本会の目的として「我が国の看護学教育、看護研究機関としての私立看護系大学の重要性に鑑み、私立看護系大学の教育・研究および経営に関する研究調査ならびに会員相互の提携と協力によって、私立看護系大学の振興を図り、その使命達成に寄与し、もって我が国の看護および看護学教育・研究の進歩発展に貢献すること」と述べられています。
このところ、大学改革の波に乗って高卒者全入をめざし大学の増設が急速に進んでいます。その中にあって、18歳人口が減少しているにもかかわらず、厚生労働省および看護職業団体の今後の看護基礎教育を学士課程とするという声明を受けて、養成所、短期大学の大学への改組転換が進む一方で、18歳人口の減少から入学定員の確保が困難になることへの対策として看護職への志望者が多いことから、まったく新たな教育機関における看護学士課の開設も目立って増加しています。
1976年、本協会の創立時には、大学2校、短期大学9校(計11校)から出発した。20周年には大学15校、短大22校(計37校)、30周年にあたる2006年には大学60校、短大18校(計78校)、2009年7月には大学90校、短大19校(計109校)と急速に増設が進んでいますが、諸般の事情を考慮すれば、まだしばらくは、増設が進むものと推測されます。
国公立大学の看護学士課程は2009年には国立大学43校、公立大学44校、公立短期大学3校あり、国公立大学短期大学あわせて90校です。2008年に私立大学数が97校となり、国公立大学の数を上回る結果になりました。学士課程における看護職の養成は次第に私立看護系大学側に増加する様相を示し始めています。私立看護系大学の教育力が看護の質と量とに与える影響が大きくなっていくものと思料されます。
私学の経営は、国公立大学と比較して財源はもとより、大きく異なっています。看護師、助産師の不足が社会にとって重大な課題となっている今日、いかにして私学において質の高い専門職業人の育成を合理的経営の中で進めることができるかは、研究調査を要する私学の重要な課題のひとつでありましょう。
看護職の養成の観点からみれば、国公立大学と私立大学の間に差はありませんが、私立学校には、私立学校法によって、建学の精神に基づき自主的に教育を行うことが保証され、所轄庁による規制は国公立にくらべ限定されています。各々の私立大学は建学の理念・精神を持ち、それが教育全体に浸透するように教育を展開します。私立看護系大学では看護教育の中に、独自の建学の精神が教科にも課外活動にも流れているので、それぞれの卒業者はその大学の精神を継承して行きます。教員は担当する領域を教育するエキスパートであるだけでなく、所属する大学の建学の精神を理解して教育に取り入れることが求められています。
私立看護系大学では単なる職業教育にとどまらずそれぞれの建学の理念・精神に基づくユニークな人材の育成が行われます。理念に根ざした教育を具現化する経営のあり方が探求されることが必須でしょう。
微力ながら、名誉会長、歴代会長のご指導を仰ぎ、会員の皆様のご支援をいただいて、本会の事業を継承し、看護教育の向上に努力するとともに、私立看護系大学が持つ課題に取り組み、問題解決の方向の探索に努めたい所存です。皆さまのご指導、ご鞭撻を切望いたします。
一般社団法人 日本私立看護系大学協会 会長
近藤潤子